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新着情報

2015年7月2日

パートタイマーに関する小冊子を執筆しました。

パート小冊子1(株)税経さんからのご依頼を受けて、所属する社労士会研究会の仲間とともに『パートタイマーの雇用の実務』を執筆しました。

A5版55ページの文字どおり小冊子ですが、事業主さん向けに法律知識から労務管理、社会保険、労働保険など実務的な知識までを読みやすく、わかりやすく書きました。

特に、「見やすく」を意識して文字で説明するのではなく図表などを多用して気軽に読んでいただける工夫をしました。

 

2015年2月28日

セクハラによる降格処分は妥当 最高裁判決

気をつけましょう。「言葉によるセクハラ」

男女雇用機会均等法(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律)では、企業に対して職場における性的な言動の管理措置に対する義務を規定しています。企業には、セクハラについて周知・啓発活動を行ったり、相談窓口を設ける、事が起きたら適切な対応をとるなどが義務づけられています。

セクハラというと、相手が望まない身体的接触や地位を利用してデートに誘ったりそれ以上のことを要求したりというようなことを想像されるかもしれませんが、法律では、「性的言動」としていて言葉のみによるものも含まれます。性的な体験を話したり、聞いたり、身体のことについてあれこれ言うのも相手が望まなければセクハラと判断される場合があります。企業には職場環境を整える義務もありますから、それらの言動について企業にも目配りする責任があります。

2月26日に最高裁で判決の出た事例では、40代管理職の男性二人が1年以上20代、30代の女性派遣社員に対して自分の性的体験や夫婦関係について話したり、「彼氏、おらへんのか?」「そんな年齢でまだ結婚しとらんの?親は泣くで」などの発言を繰り返していました。会社はこれを知って出勤停止として管理職から一般職に降格処分としましたが、その処分が重過ぎるとして争っていたものです。

通常、企業の懲戒処分は、労働者側によほど責任がある場合(刑法犯罪や会社に著しい損害を与えたなどの場合)を除き、注意・指導などの軽い処分から始まり、それでも直らない、またはそれを繰り返しても直らない場合に、重い処分へと進むものでいきなり重い処分は普通しません。当該男性社員もいきなり重い処分をされたのは納得いかないということだったようです。

一審では処分は妥当とされましたが、二審の高裁では処分は重過ぎるとされ、最高裁では高裁判決をくつがえし妥当とされたものです。この事例の場合、第三者のいない所で繰り返されていたため、会社はそれを知る機会がなく注意・指導をすることができなかったとしていて、セクハラという行為が通常の非違行為とは多少性質が違うと考えたようでもあります。社内研修なども行っていたそうで、管理職としての見識も問われますから、降格処分は妥当だったのではないかと思います。

最近では、同性同士のセクハラも問題となることがあります。同性の気軽さから性的体験を聞いたり、身体のサイズの話などをすることも相手が嫌がっていればセクハラとなります。その種の話はよほど信頼関係がなければしない方がいいということだと思います。会社としては、申告したことで被害者が不利益をこうむらないということや秘密を厳守することなどをきちんと就業規則に明記して、相談窓口を整備するなどしてセクハラの芽を早めに摘んでいくことが必要でしょう。

2015年1月9日

4月1日よりパートタイム労働法改正施行

2015年(平成27年)4月1日よりパートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)が改正施行されます。

主な改正点は以下の3つです。

1.短時間労働者の待遇の原則についての条文が新設(第8条)

事業主が正社員とパートタイマーの待遇について差をつける場合は、業務の内容、業務に伴う責任の程度、配置の変更、その他の事情を考慮して不合理と認められるものであってはいけないと  規定されました。労働条件に差がある場合は、何故、そのような差があるのか、事業主は合理的な説明ができなくてはいけません。業務内容や責任の度合いに応じてバランスがとれた労働条件としなければなりません。

2.雇い入れのときの説明義務の条文新設(第14条)

事業主は、パートタイマーを雇い入れるときには、賃金、教育訓練、福利厚生施設の利用、正社員への転換制度などについて、説明しなければならなくなりました。

3.相談体制の整備(第16条)

事業主は、短時間労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備しなければならなくなりました。

具体的には、会社内に必ず「相談窓口」を設け、雇い入れの際に文書で交付する雇用契約書や労働条件通知書等に、相談窓口について明記することが義務づけられました。「相談窓口」については、「総務部総務課」などの部署名でもよいですし、事業主や社内の人事担当者などの個人名でも構いません。

パートだからと軽く考えているのはトラブルの元です。パートタイマー就業規則などを整備して、雇入れのときにも労働条件についてきちんと説明して納得して働いてもらうことが重要です。

 

2014年12月8日

有期雇用労働者に関する特別措置法公布

通算5年を超えても無期雇用とならない特例

この度専門的知識等を有する有期雇用労働者に関する特別措置法が成立して、2015年(平成27年)4月1日より施行されることになりました。

労働契約法では、期間の定めのある有期雇用の契約を更新し続けて、5年を超えた場合、労働者が無期雇用となることを申し込めば、次の契約更新から無期雇用とすることが事業主に義務づけられています。(2013年4月より5年のカウントがスタートしています)この度の措置は、①大学の研究者等 ②定年後の再雇用の人 について、特例として①については、最大10年まで期間を延長できる、②については、定年後の再雇用の期間は無期契約の申込みをする権利が発生する期間としてカウントしないとするものです。

①については、当初より5年では成果が図れないという声がありそれに配慮したものです。また、②については、60歳で定年後、嘱託等になり1年ごとに契約を更新している人が5年を超えて、申込みをすると無期契約となり、「終身雇用」となってしまうのか? それをしたくない場合には、65歳を上限とするなどの取り決め、いわば「第二の定年」を定めておかなければならないという問題がありました。この特別措置法によりそれらが解消される見込みです。ただし、雇用管理に関する計画書を提出して厚生労働大臣の認定を受ける必要があります。計画書に関しての詳細はまだ明らかにされていません。今後、発表されるものと思われます。

 

 

2014年10月24日

妊娠による降格の違法性の判断 最高裁が示しました。

「労働者の同意」と「特段の事情」の有無

10月23日、最高裁は、「妊娠により降格させられたのは均等法違反」との女性労働者の訴えを受けて、男女雇用機会均等法(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律)にある妊娠による不利益取り扱いにあたるかどうかの判断基準を示しました。会社の人事の裁量として降格を認めていた高等裁判所に対し、審理が尽くされていないとして差し戻しとしました。訴えていたのは、理学療法士として病院に勤務していた女性で、妊娠したため軽易な業務への変更を申し出ましたが(労働基準法で認められている正当な権利)、業務が変更すると同時に「副主任」の役職を外され、役職手当月額9,500円も支給されなくなり、均等法にある妊娠による不利益取り扱いの禁止に違反しているとしたものです。

一審、二審では、企業側の人事の裁量権として認め、女性の訴えを退けていました。企業運営には適性な人事配置は不可欠であり、労働契約に付随する権利として認められています。裁判の場でも企業の強い権利として認められる傾向があります。今般、最高裁は、この事案の場合、①労働者の自由な意思に基づく同意がないこと、②降格する必要性があるという特段の事情について十分な審理がされていないとして、「自由意思に基づく労働者の同意」並びに「降格しなければならない特段の事情」がなければ、妊娠したことにより降格することは違法であるとの判断をくだしたものです。

この事案では、①について、企業側は「同意を得た」としていますが、最高裁では「上司が電話をかけてきて渋々認めざるを得なかった」という労働者側の言い分を重くみて、自由な意思に基づく同意ではないと判断したようです。降格に限らず、労働契約の内容を変更する場合には、労働者の同意が必要ということについて(労働契約法に規定があります。)、企業は留意するべきでしょう。この裁判でも、女性労働者は、自分には何の落ち度もなく法律で決められた軽易な業務への転換という正当な権利を行使しただけなのに、せっかく得た社内での役職を取り上げられ、手当もなくなり収入も減るということについて納得がいかなかったのでしょう。

不利益取り扱いとは

では、不利益取り扱いとはどのようなことを言うのでしょうか。

厚生労働省ではそれについて指針(平成18年10月11日 厚生労働省告示第614号 )があります。解雇、雇止め(有期契約で契約更新しないこと)降格、退職や正社員からパートタイマーになるなどの強要、派遣社員に対して役務の提供を拒むこと(他の派遣社員に換えることを要求するなど)などが挙げられています。法律で禁止されているにも関わらず、以上のようなことは日常的に行われていて、最近では「マタニティハラスメント」として社会的にも注目を集めるようになっています。今般の最高裁の判断がでたことにより、今後、マタニティハラスメントについて企業に対する風当たりは強くなるものと思われます。

社員の妊娠を祝福できる企業になりましょう!

この裁判を企業側から見てみると、軽易な業務に変わるということは、今までの「副主任」という立場に比べて責任も権限もないのだから、それに伴い役職を外して手当もなしとしないと、労働に見合った賃金とはならないと考えることも可能かもしれません。企業は、利益をあげなければなりませんから、仕事に見合った賃金を支払うことは大事です。しかし、「妊娠、おめでとう。身体を大切にね。今までより軽い業務ですが、役職も手当もそのままです。元気な赤ちゃんが産まれるといいね」という処遇をしたとしたら、労働者側は「いい会社だな。ここでこれからも頑張ろう」と思うのではないでしょうか。他の若い女性社員も会社のやり方を見ています。妊娠した社員をお荷物扱いすることなく、祝福して会社全体で赤ちゃん誕生を喜ぶような会社なら、定着率も上がるでしょう。

企業にとって人は財産です。様々な経験を積んだ様々な人材がいてこそ企業は強い組織となり成長できます。妊娠した女性社員をお荷物扱いせずに人材として活かしていくことができれば、長期的に見て利益を上げることにつながるものと思います。「やはり、妊娠するような女性社員は企業にとってリスクだな。」と考え、家事、育児に関係なく長時間働けるような労働者を重用するような経営者は、そのうち時代に取り残されることになるでしょう。

 

 

 

 

2014年9月17日

足立区男女参画プラザで講師を務めました。

2014年9月17日、足立区男女参画プラザで「パートの法律知識2014 知っ得!安心!」の講座の講師を務めました。

パートタイマーで働く方に知っておいていただきたい労働者の権利等についてお話ししました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。お話ししたことが、何かの折にお役にたてば幸いです。皆様の今後のご活躍を心よりお祈りいたします。

講座の模様は、私のブログにも掲載しました。よろしかったらご覧ください。(参照)

2014年7月24日

『企業実務8月号』に原稿を書かせていただきました。

日本実業出版社 『企業実務』8月号に原稿を書かせていただきました。

「パート・アルバイトの年休付与・取得をめぐる問題Q&A」と題して記事を書かせていただきました。

正社員より短い時間で働くパート・アルバイトも、法定の条件に該当すれば年次有給休暇取得の権利が発生します。労務管理上押さえておくべき法律の知識、留意点等について書かせていただきました。有給休暇については、私のブログで記事にしていますので、よろしかったらご覧ください。(参照)『企業実務8月号』

2014年6月30日

労働安全衛生法の改正公布 ストレスチェックの義務づけ等

2014年6月25日労働安全衛生法改正が公布されました。

改正内容は厚生労働省のHPに説明されています。(参照)

科学物質管理の在り方の見直し、受動喫煙防止対策の推進についての努力義務などがありますが、企業にとつて影響が大きいのは、ストレスチェックの義務づけだと思われます。従業員数50人未満の事業場については努力義務とされましたが、50人以上の事業場は義務となりました。「事業場」とは企業全体ではなく、支社や工場など場所ごとの単位で考えます。年々増加する労働者の心の病に対応するために、早めに精神状況を把握する必要があるとのことでのチェックだと思われますが、企業にとっては費用もかかりますし、簡単なことではないでしょう。50人以上の事業場には産業医の選任が義務づけられていて、必ず産業医が選任されていると思いますので、産業医と相談しながら行っていくのがよいでしょう。

やり方としては、直接医師や保健師などと面接して行う、もしくは、あらかじめ項目が書かれた書式を労働者が自分で記入して医師等に判定してもらうというやり方などが考えられています。法律では、検査をした医師等は、本人の同意なく結果について事業者に提供してはならないとされていて、労働者のプライバシーを守り、不利益を受けないようにと配慮されています。結果を受けて労働者が希望した場合には、医師による面接指導を受けさせることも事業者に義務づけています。また、面接指導を受けた場合は、その内容により就業場所の変更や労働時間の短縮等適切な対応も義務づけていて、企業にとっては負担が増えることになりそうです。

ストレスチェック制度の施行日(実際に法律の効力が発生する日)は公布の日から1年6か月以内の政令で定める日となります。該当する企業は、施行日までに社内的な体制について考慮しておきましょう。

2014年6月25日

気をつけましょう。職場のセクハラ

セクハラ管理措置義務が強化されました。

先ごろ、都議会で女性議員に対するセクハラやじ発言が問題となりました。少子化対策について質問している独身の女性議員について、「早く結婚した方がいい」「自分が産め」などの品位のないやじがあり、回りでは笑っていた議員もいたようです。報道によると、それだけで、政治家としてのキャリアは終わりだと明言する外国人特派員もいます。

7月1日より男女雇用機会均等法のセクハラについての指針が改正され、事業主に対するセクハラ管理措置義務が強化されます。現行の法令でも、従業員に対する周知・啓発活動、相談窓口を設ける、相談に対する適切な対応などを事業主に求めていますが、さらに、セクハラかどうか微妙な場合にも相談に応じること、被害者に対するメンタルヘルス不調への対応などが求められるようになりました。また、セクハラは同性に対するものも含まれると明記されました。

職場のセクハラとは、性的な言動により相手に不利益を与えたり就業環境を害することです。相手が不快に思っていればセクハラに該当しますから、「なんで結婚しないの?」など業務に関連のない個人的な質問などについては注意が必要です。前述のやじにある結婚や出産は個人の選択の問題です。個人を尊重する気持ちをもって、一人ひとりが快適に過ごせる職場になるように、今一度、日ごろの言動について全社的に話し合ってみるのもよいでしょう。

2014年5月2日

改正男女雇用機会均等法7月1日より施行です。

就業規則記載関連法改正情報に改正男女雇用機会均等法について追加しました(参照)

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