2018年2月23日
日本実業出版社発行の雑誌『企業実務3月号』 に「副業・兼業容認の動き」と題して執筆させていただきました。
政府は「働き方改革」の一環として柔軟で多様な働き方を目指して、副業・兼業の推進を掲げています。2018年1月に副業・兼業を容認するように改正したモデル就業規則、ガイドラインなどを公表しました。
現在、多くの企業では、機密情報の漏えいのおそれ、本業が疎かになる、過重労働のおそれ、労務管理が複雑化するなどの懸念から副業、兼業を許可制、または原則禁止としています。しかし、裁判例などから、本来、仕事をしていない時間は労働者の私的な時間であり、その時間は何に利用しようと労働者の自由であることとされ、企業経営にさしさわるなどの合理的な理由がなければ、企業が兼業を制限することはできないとの法律的解釈が示されています。
モデル就業規則の改正も、その解釈にそったものです。しかし、現行の雇用保険制度、労災保険制度、労働時間管理など、副業、兼業を容認した場合の問題点もあり、各企業の実情に合わせてメリット、デメリットをよく理解した上で考えていく必要があります。
2018年1月4日
①無期転換ルール
2013年(平成25年)4月1日より改正・施行の労働契約法第18条により、有期契約を更新し続けて5年を超えた労働者が申し込めば、無期契約に転換しなければならない(期間以外の労働条件は従前のままでよい)とする規定について、今年4月1日以降該当する労働者が多数でてくると考えられています。
就業規則等の整備が必要ですが、すでに対応を終えている場合も申出の書式等そろえ、トラブルのないようにしましょう。
②派遣法の「3年ルール」
2015年(平成27年)9月30日改正・施行の派遣法により同日以降にスタートした派遣契約により受け入れた派遣社員は、3年以上受け入れることができなくなります。業務の違う他の部署での受け入れは可能ですが、派遣先の労働者の過半数代表者の意見聴取が必要となります。また、3年経過後、同一部署で別の派遣社員を受け入れる場合にも同様の意見聴取が必要となります。
近年、有期雇用者として定着してしまう労働者が増えているため、①、②いずれも有期契約労働者保護の目的で改正されました。
優秀な人材確保のためにも、社内事情に応じて有期労働者を無期雇用、又は正規雇用とすることが法の趣旨にかなうこととなります。
2017年8月30日
今年1月1日からマタニティハラスメント管理措置義務、介護休業の分割取得、介護のための短時間勤務、残業免除などの改正が行われた育児・介護休業法ですが、10月1日からさらなる改正が施行されます。
現在、1歳までの育児休業を取得した後、保育所に入れない等の法定の理由があれば子が1歳6か月まで休業を延長できますが、1歳6か月を過ぎても同様の理由があればさらに6か月延長して、最大2歳までの休業取得ができることになりました。
また、努力義務ですが、労働者やその配偶者が妊娠したことを知った場合の情報提供や育児目的の休暇の創設などが企業に求められることになりました。
休暇については、就業規則に必ず記載しなければならない事項ですので、改正内容にそって育児・介護休業規程を見直しましょう。
2017年8月23日
日本実業出版社発行『企業実務』9月号に「年齢と誕生日の基準を確認しておこう」というテーマで原稿を書かせていただきました。年齢については、「年齢計算に関する法律」で規定され、実は、誕生日の前日に年齢が加算されます。実務においては定年年齢、社会保険関連の資格取得、喪失などのときに各月の1日生まれの人は、前月に年齢が加算されることになり注意が必要です。
例えば40歳で介護保険第2号被保険者となりますが、各月の1日生まれの人は誕生日の月の前月に資格を取得するため、誕生日の属する月から給料からの保険料控除を行います。各月の2日から31日生まれの人については、誕生日の属する月の翌月から控除を開始します。
2016年12月26日
結婚、出産しても働き続ける女性が増えるとともに、ビジネスの場で結婚により改姓しても旧姓を使用し続けたいと希望する女性が増えています。
「どう考える?ビジネスでの旧姓使用」と題して原稿を書かせていただきました。旧姓使用について特に法的規制はありませんが、国家公務員は2001年10月より戸籍上の姓が変わった後も旧姓を職場内で使用することを認めています。また、2015年2月より法人の役員登記について申出により婚姻前の姓を表記できるようになるなど、国としても職場での旧姓使用について認める範囲を拡大する傾向になっています。
民間企業内では各企業の自由裁量に任されていますが、そのような社会的流れがあることは認識しておく必要があるでしょう。申出があったときにあわてないように、会社としてどうするか考えておいた方がよいでしょう。
2016年9月20日
今年の3月、育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)が大幅に改正され、2017年1月1日より施行されます。
主な改正点は以下のとおりです。就業規則、育児・介護休業規程などの改正が必要ですので、施行に合わせて、早めに対応しましょう。
改正項目 | 現行 | 改正内容 |
1.期間雇用者に対する要件 (育児休業) |
①勤続1年以上 ②1歳以降も雇用継続の見込みがある ③2歳までの間に更新されないことが明らかな者は除く |
①勤続1年以上 ②子が1歳6か月に達する日までに その労働契約(更新されるものは 更新後のもの)が満了することが 明らかな者は除く |
2.介護休業 | 対象家族1人につき通算93日 原則1回限り |
対象家族1人につき通算93日まで 3回を上限として分割取得可能 |
3.子の看護休暇と介護休暇 | 1日単位で取得 (小学校就学前の子又は 対象家族1人につき年5日、 二人以上10日) |
半日(所定労働時間の1/2) 単位の取得可能 所定労働時間が4時間以下の人は 適用除外 |
4.介護のための選択的措置義務 | ①所定労働時間の短縮 ②フレックスタイム制 ③始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ ④介護サービス費用の助成 その他これに準ずる措置の いずれかの措置介護休業と通算して 93日間取得可能 |
介護休業とは別に利用開始から 連続する3年間以上で利用可能 (2回以上可能) |
5.介護のための残業 (所定時間外労働)免除新設 |
なし | 対象家族を介護する労働者の請求により、介護が終了するまで残業免除 |
6.期間雇用者に対する要件 (介護休業) |
①勤続1年以上 ②休業開始から93日を経過する日 以降も雇用継続の見込み ③93日経過日から1年経過する日までの 間に契約更新されないことが明らかでない |
①勤続1年以上 ②93日経過日から6か月を経過する 日までの間に労働契約 (更新される場合は更新後のもの)が 満了することが明らかでない |
7.職場における育児休業等に 関する言動についての雇用管理措置義務新設 |
なし(介護休業取得等に関して不利益取扱い禁止条文はあり) | 育児休業、介護休業等の法令による 制度の利用に関して、上司、同僚等による 言動により本人の職場環境が 害されないようにする事業主に対する 管理措置義務 (ハラスメント防止管理措置義務) |
※労使協定により除外できる労働者
1..は①勤続1年未満 ②申出の日から1年以内(1歳を超える休業は6か月以内)に雇用関係が終了する
③週の所定労働日数が2日以下
2.は①勤続1年未満 ②申出の日から93日以内に雇用関係が終了する。③週の所定労働日数が2日以下
3.は①勤続6か月未満 ②週の所定労働日数が2日以下
5.は①勤続1年未満 ②週の所定労働日数が2日以下
2016年7月21日
(株)日本実業出版社発行『企業実務 8月号』にインターンシップ導入に関する留意点について原稿を書かせていただきました。
インターンシップは、学生時代に企業内で実習・研修的な就業体験をすることです。職業や働くということについてのイメージを明確にすることにより、若者の早期離職を防ぐ効果などが期待できることから、文部科学省、厚生労働省、通商産業省等関連の行政官庁も推奨している制度です。。文部科学省の調査によると2014年には大学、短期大学、高等専門学校で参加した学生が70万人を超えています。これから導入を考えている中小企業等に労務管理上の留意点などについて書かせていただきました。
2016年5月6日
5月6日発売の『SR』42号(株式会社 日本法令)に今般改正され、2017年1月1日より施行される女性労働者の妊娠・出産に関連する就業環境を害する言動(いわゆるマタニティハラスメント)に関する雇用管理措置義務についての原稿を書かせていただきました。今後、事業主さんには、マタニティハラスメントが起きないような雇用環境を作っていくことが求められます。社内規程の整備、相談窓口の設置、運営、全社的な啓発活動など、施行に向けて準備していくことが必要となります。
2016年3月31日
3月29日、雇用保険法等の一部を改正する法律が国会で可決されました。
雇用保険料率の引下げ、介護休業の分割取得などの他に、男女雇用機会均等法が改正されました。
妊娠した女性労働者の妊娠・出産に関連する上司、同僚等による就業環境を害する言動、いわゆるマタニティハラスメントを防止するための雇用管理措置が事業主に義務づけられました。
マタニティハラスメント(以下マタハラとします)とは、妊娠した女性労働者が法律上の権利である産前、産後休業、軽易な業務への転換、妊娠中の健診のための時間、育児休業などを請求することを妨げるような言動、また、それらを請求したことによる不利益な取り扱い(解雇、退職勧奨、降格、人事考課を下げる、本人が望まない労働条件の変更を強要するなど)をするような言動をいいます。
不利益な取り扱いの中には、就業環境を害することも含まれますから、上司、同僚等による当該女性労働者が精神的、肉体的な苦痛を感じるような言動も含まれます。
この改正の施行は2017年1月1日からですが、施行後は、職場でマタハラが起きないように事業主は雇用管理をしなくてはいけなくなります。
①マタハラに関する周知・啓発 ②相談体制の整備 ③事後の迅速かつ適切な対応
等を行わなければなりません。まず、就業規則で何がマタハラになるか明確にして、マタハラをした場合は懲戒処分の対象にすることを明文化します。社内的に周知して、講習、研修などの啓発活動も積極的に行いましょう。
社内の相談窓口などの体制も整備して、もし、マタハラが起きたら迅速に対応しましょう。
まずは、就業規則の整備からはじめましょう。
2015年7月13日
マイナンバー法(行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)が施行され、今年の10月から住民票のある自治体から一人一人に個別の12桁の番号が通知されます。
各企業は従業員の社会保険、税関連の届出等にこの個人のマイナンバーを記載しますので、従業員から番号の提供を受けることになりますが、マイナンバー法で厳格な安全管理措置義務が定められています。企業としては事務取扱担当者や責任者を定め、取得、利用、保管、提供、廃棄等について、法に基づき社内規程を整備する必要があります。事業所の規模に関わらず管理措置義務はあります。平成28年1月1日から雇用保険関係事務、平成29年1月1日から健康保健、厚生年金保険事務にマイナンバーの記載が必要となりますので、早めに社内規程、ガイドラインなどを整備して備えましょう。
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