ホーム > 就業規則作成・見直し > 就業規則の見直し例(服務規律)

就業規則作成・見直し

就業規則の見直し例(3)服務規律

就業規則に服務規律を必ず定めるという法律はありませんが、社内のルールを決めて、労使ともに気持ちよく働くという役割を果たすためには、服務規律は当然記載すべきものと思われます。

また、勤務態度の悪い社員に懲戒を課すためには、就業規則に記載されていることが要件ですから、働き方のルールを明確にして何が正しい働き方か根拠をきちんと示せるようにしておきましょう。

第○条 従業員は次の行為をしてはならない。

1.勤務中みだりに席を離れること。

2.許可なく会社の施設、物品等を使用すること。

3.会社の名誉を毀損し、利益を害すること。

4.許可なく他の業務につくこと。

5.その他社員としてふさわしくない行為をすること。

上のような条文ですと、曖昧で具体性がないためトラブルのもとになります。想定される範囲のことを列挙していけば30項目ぐらいにはなります。なるべくわかりやすく具体的に項目を挙げましょう。

セクハラについての規定は必ず必要です。

2007年4月より施行の改正男女雇用機会均等法では、セクシャルハラスメントに対する措置を事業主に義務付けています。セクハラの禁止を周知徹底するとともに、社員に対する啓発活動や相談窓口の設置等が指針として出されていますので、就業規則上にもそれらを盛り込まなければなりません。

セクハラについては、何がセクハラに当たるかも含めて、社員に周知・徹底することが必要です。できれば別規程を作成して啓発活動を行うのが望ましいですが、別規程を作成しない場合も、就業規則上でしっかりと規定を作成してください。

なお、改正均等法では、女性のみならず男性に対するセクハラも禁止となりました。女性についてと同じように相手の望まない性的言動により、不利益を与えたり、就業環境を害すことは違法です。

パワハラについての規定も作成しましょう。

パワーハラスメント(パワハラ)とは社内の地位や権力を利用したいじめや嫌がらせのことで、近年雇用管理上問題となっています。パワハラを受けたことがもとでうつ病になり、労災と認定された例も出ています。

パワハラがあるような会社では、モチベーションも下がり職場の雰囲気もギスギスしたものとなりがちです。職場の人間関係がもとで退職する社員もいますから、優秀な人材を失うことにもなりかねません。

パワハラに対して特に法律の規制はありませんが、セクハラと同じように何がパワハラにあたるか、ガイドラインなどを作成して社員に周知し、啓発活動をしたり相談窓口などを作って防止しましょう。就業規則上の服務規律で、絶対してはならないこととして規定しましょう。

パワハラにあたる例を以下に挙げます。

1.皆の前で怒鳴る、机や壁を叩いて脅す。
2.部下を無視する。仕事を与えない。
3.能力を低く評価したり昇進を妨害する。
4.異動、転勤の強要、
5.人格を傷つけるような言動をする。
6.宴会や社員旅行を強要する。

などがパワハラにあたりますが、日頃の人間関係の親密さの度合いで、同じ言動でも相手方が不快に思う場合とそうでない場合があります。パワハラはあってはならないことという共通理解をまず深めましょう。そのためには就業規則上でしっかりと規定しましょう。

その上で会社は個別、具体的に真摯に対応しましょう。

パソコン、メール等の使用方法も規定しましょう。

近年のIT化により社員ひとりひとりがパソコンを使用する場合も多いと思いますので、パソコンやメールの使用方法なども定めた方がよいでしょう。

また、社員が私的なブログに会社の内部事情を書いたりということがないとも言えませんので、それらについても規定を作成した方がよいでしょう。もちろん個人の「言論の自由」は最大限尊重されるべきですが、

判例でも「労働者は労働契約に基く付随的義務として、信義則上、使用者の業務上の秘密を守る義務がある」(三朝電機製作所事件 東京地裁判昭和43.7.16)とされていますので、就業規則の服務規律にしっかりと規定しましょう。

お気軽にお問い合わせください

ページのTOPへ