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2015年2月28日

セクハラによる降格処分は妥当 最高裁判決

気をつけましょう。「言葉によるセクハラ」

男女雇用機会均等法(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律)では、企業に対して職場における性的な言動の管理措置に対する義務を規定しています。企業には、セクハラについて周知・啓発活動を行ったり、相談窓口を設ける、事が起きたら適切な対応をとるなどが義務づけられています。

セクハラというと、相手が望まない身体的接触や地位を利用してデートに誘ったりそれ以上のことを要求したりというようなことを想像されるかもしれませんが、法律では、「性的言動」としていて言葉のみによるものも含まれます。性的な体験を話したり、聞いたり、身体のことについてあれこれ言うのも相手が望まなければセクハラと判断される場合があります。企業には職場環境を整える義務もありますから、それらの言動について企業にも目配りする責任があります。

2月26日に最高裁で判決の出た事例では、40代管理職の男性二人が1年以上20代、30代の女性派遣社員に対して自分の性的体験や夫婦関係について話したり、「彼氏、おらへんのか?」「そんな年齢でまだ結婚しとらんの?親は泣くで」などの発言を繰り返していました。会社はこれを知って出勤停止として管理職から一般職に降格処分としましたが、その処分が重過ぎるとして争っていたものです。

通常、企業の懲戒処分は、労働者側によほど責任がある場合(刑法犯罪や会社に著しい損害を与えたなどの場合)を除き、注意・指導などの軽い処分から始まり、それでも直らない、またはそれを繰り返しても直らない場合に、重い処分へと進むものでいきなり重い処分は普通しません。当該男性社員もいきなり重い処分をされたのは納得いかないということだったようです。

一審では処分は妥当とされましたが、二審の高裁では処分は重過ぎるとされ、最高裁では高裁判決をくつがえし妥当とされたものです。この事例の場合、第三者のいない所で繰り返されていたため、会社はそれを知る機会がなく注意・指導をすることができなかったとしていて、セクハラという行為が通常の非違行為とは多少性質が違うと考えたようでもあります。社内研修なども行っていたそうで、管理職としての見識も問われますから、降格処分は妥当だったのではないかと思います。

最近では、同性同士のセクハラも問題となることがあります。同性の気軽さから性的体験を聞いたり、身体のサイズの話などをすることも相手が嫌がっていればセクハラとなります。その種の話はよほど信頼関係がなければしない方がいいということだと思います。会社としては、申告したことで被害者が不利益をこうむらないということや秘密を厳守することなどをきちんと就業規則に明記して、相談窓口を整備するなどしてセクハラの芽を早めに摘んでいくことが必要でしょう。

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